体重が増えない・太れない40代女性のための健康的に体重を増やすコツ

目次
「痩せたい」より難しい「太りたい」
「痩せすぎてて似合う服がない」
「体重が増えない、太れない」
「シワや皮のたるみが目立つ」
体重が増えず、老けて見えることに悩んでいませんか?
太っている人同様、痩せすぎの人も多くの悩みを抱えています。
痩せていると綺麗に見えると思いがちですが、美しい見た目に重要なことは「体重が少ないことではなく、筋肉量がしっかりあるカラダ」です。美しい体型になるためには、必要最低限の筋肉量や脂肪量が必要です。
痩せすぎの人は頑張っても体重が増えにくく、無理に食事量を増やすと、すぐ胃腸を壊してしまうなどの問題が起こります。
実は太っている人が痩せるより、ガリガリの痩せ体質の人が体重を増やすことのほうが難しいのです。
この記事では痩せすぎの40代女性が、上手に体重を増やすコツを解説していきます。
低体重のリスク
体重が少ない痩せすぎは、実は様々な病気のリスクを抱えています。
死亡リスクの増大
太っている人が生活習慣病など病気のリスクが高いことは知られていますが、実は低体重の人も、病気のリスクが非常に高いことが研究でわかっています。
心疾患や脳疾患の死亡リスクは、BMI18.9以下が最も高くなります。⏩国立がん研究センター「肥満指数と死亡リスク」
骨粗鬆症
立っている時や歩いている時でも、体重自体が骨への負荷になり、骨の強化になっています。痩せすぎだと骨への負荷が低くなり、骨が強化されにくく、脆くなりがちです。
特に女性は閉経後、女性ホルモン「エストロゲン」の分泌が急激に減ることから、男性に比べ骨粗鬆症のリスクが高いことがわかっています。
【エストロゲンと骨の関係】
骨も髪の毛などと同じように、古くなった骨を壊し新しい骨を再生して、新陳代謝を繰り返しています。
エストロゲンは骨の新陳代謝のバランスを調整しています。閉経後エストロゲンが減ると、骨の新陳代謝のバランスが崩れ、骨を破壊する作用が強くなり、新しい骨の再生が追いつかなくなり、骨が脆くなってしまうのです。
他にもエストロゲンは、骨からカルシウムが出ていくことを防ぐ役割をしています。エストロゲンが減れば、骨からカルシウムが出ていきやすくなり、骨がスカスカになってしまうのです。
月経不順・無月経
脂肪は女性ホルモンの材料でもあります。痩せすぎによって脂肪量が少ないと、女性ホルモンバランスが崩れ、月経不順や無月経を引き起こしやすくなります。
BMI18.5以下の低体重の人や体脂肪率が15%以下など、脂肪量が少ない女性は月経不順や無月経が起きやすくなることがわかっています。
不妊症
痩せすぎの場合、生命活動とは関係ない生理現象から抑えられていきます。これは自分の生命を本能的に守るためです。そのため、痩せすぎて必要な脂肪量がない女性は妊娠機能が削除されます。妊娠した時の二人分のエネルギー量が確保できそうもないので、自分を守るために妊娠しなくなるのです。
低体重になると、月経不順や無月経が起こるのは、妊娠しないように防衛本能が働いているからです。
女性は歳を取るほど妊娠しにくくなります。子どもを望む方にとって、まずは適正な体重があって健康体が最低条件です。これは全年代で言えることです。
貧血症
食事量が少なければ、その分必要な栄養素も不足します。鉄分が不足すると貧血を起こしやすくなります。鉄は赤血球のヘモグロビンの構成成分となっています。
ヘモグロビンは肺から取り込んだ酸素を全身に供給する役割を持っています。鉄分が不足すると全身の細胞に十分な酸素がいかなくなり、「疲れやすい」「だるい」といった症状が出てきます。
ロコモ、サルコペニア
高齢化社会に伴い、「ロコモ、サルコペニア、フレイル」といった言葉がよく聞かれるようになりました。ロコモティブシンドロームとは、運動機器の機能が低下し、寝たきりや要介護のリスクが高い状態のことを指します。
低体重はロコモなどの危険因子の一つであり、将来的に非常に寝たきりや要介護のリスクが高くなってしまいます。
痩せすぎによる日常生活の問題
痩せすぎは日常生活でもこんなデメリットがあります。
貧相に見える
細く引き締まっているのと痩せすぎは違います。痩せすぎは細く見えるのではなく、貧相に見えてしまいます。
体力がなく疲れやすい
痩せすぎは筋肉量も少ないので、体力がなく疲れやすい体になります。動くとすぐ疲れるなど、快適とは程遠い日常生活になってしまいます。
ケガをしやすい
筋肉や脂肪は身体を守るクッションの役割を果たしています。痩せすぎはそのクッションがないので、ケガのリスクが大きくなります。
例えば、転んでどこかを打った時、骨折しやすいなどケガのリスクが大きくなります。
冷え性など不調が多くなる
筋肉量が少ないと血流が悪くなります。そうすると、血行不良で起きやすい「冷えや肩こり」などの不調が多くなります。
40代女性の理想の体重
体重は多すぎても少なすぎてもいけません。また年代によって目標とする体重はやや異なっていきます。(基本的に40代以降は、20代に比べやや重めになります)
体重の判断はBMI
BMIとは体格指数のことで次の式で求められます。
BMI=体重(kg)÷(身長m)²
BMIの基準 | |
BMI18.5以下 | 低体重(少なすぎ) |
BMI18.5~24.9 | 標準体重 |
BMI25~29.9 | 肥満1度 |
BMI30.0~34.9 | 肥満2度 |
BMI35.0~39.9 | 肥満3度 |
BMI40.0以上 | 肥満4度 |
BMIは世界的に用いられている指標ですが、日本人は欧米諸国に比べ、体格が小さいことと、骨格筋量が少ないことが特徴として挙げられます。同じBMIでも、より体脂肪が多い肥満の可能性があります。
例えば、欧米人の場合、 BMI19は筋肉量はしっかりあるけど脂肪量が少ない体型、日本人の場合は筋肉量が少なく、体重の多くが脂肪という体型。ちょっと前に言われた隠れ肥満もこれにあたります。
40代女性の理想体重
BMI22程度が理想体重になります。BMI18.5〜24.9が標準体重ですが、40代からはその範囲の中でも、やや上限のほうが見栄えがします。体脂肪率も重要になりますので、40代女性の標準数値21〜27%の範囲が理想的です。
わかりやすく考えるならBMI、体脂肪率ともに22〜23を目標にしてください。
太りたい人がやってはいけないこと
無理に食べ過ぎる
食べる量を増やすことは重要です。しかし痩せすぎの人は本来、あまり量を食べることができません。1回の食事量を無理して増やさないでください。胃腸を壊し、さらに体重を減らしてしまう恐れがあります。
食べる量を増やすためには、一度にたくさん食べるのではなく、回数を増やすことが大切です。
太りやすいものばかり食べる
太りたいからといって、高カロリーな食事や高GI値食品ばかり食べるのはよくありません。カロリーをしっかり摂ることは必要ですが、揚げ物ばかり食べるのではなく、高カロリーだけど体に良いものを食べることが必要です。
太りたくても、次のような食べ物は控えるようにしてください。
・揚げ物
・清涼飲料水
・砂糖(スイーツなど)
お酒の飲み過ぎ
ビールなどの糖を含むお酒は太りやすいですが、血糖値を急上昇させ、生活習慣病の原因になる内臓脂肪を増加させます。またアルコールは筋肉を分解してしまう作用もあるので、お酒の飲み過ぎは見た目は太っても、身体の中身が悪い状態になってしまいます。
健康的に体重を増やすコツ
食事の回数を増やす
体重を増やすためには、一度にたくさん食べるのではなく、一回の量は少なくていいので、回数を多く摂ることが必要です。通常の3食に加え、間にプロテインなどを摂るようにして、1日5〜7食程度が理想です。
【食事の例】
07時:朝食
10時:プロテイン
12時:昼食
15時:おやつ(ミックスナッツなど)
19時:夕食
就寝30分前:プロテイン
タンパク質を摂る
体重を増やすためにはカロリーのある「糖質・タンパク質・脂質」の摂取が必要です。タンパク質は筋肉を作る主材料なので、筋肉量が多い身体を作るためにもしっかり摂ってください。
【タンパク質を摂るポイント】
・肉類に偏らない
・色々なタンパク質食品をバランスよく摂る
・運動後と夕食は絶対に摂る
・毎食必ず摂取する
・プロテインを上手に活用する
【1日あたりのタンパク質摂取量】
体重×1.3〜1.5g
体重50kgの人なら65〜75gになります。
※卵一個(Mサイズ50g)のタンパク質量が約6.2g程度です。
【タンパク質食品】
・鶏胸肉、ささみ
・魚介類(魚、甲殻類、貝類)
・大豆食品(豆腐、納豆、豆乳)
・卵
・プロテイン
質の良い脂質を摂る
体重を増やすにはカロリーを摂ることです。最もカロリーが高い栄養素は脂質です。食事の中で上手に脂質を摂ることが、健康的に体重を増やすためには欠かせません。
なんでもカロリーのあるものを摂るのではなく、良い脂質を積極的に摂り、悪い脂質を制限することを考えてください。
良い脂質(積極的に摂りたい) | 制限すべき脂質 |
オメガ3
アマニ油、えごま油、青魚、くるみ(ナッツ類全般おすすめ) |
オメガ6 コーン油、大豆油など一般的なサラダ油 |
オメガ9
オリーブオイル |
飽和脂肪酸
動物性脂質(脂身) |
トランス脂肪酸
マーガリン、ショートニング、酸化した油(ファーストフードの揚げ物など) |
筋トレをする
体重を増やすためには、ジョギングなどの有酸素運動より筋トレが効果的です。効率よく体重を増やすためには身体の大きい筋肉群を鍛えることです。
まず鍛える部位はこちら
- 胸(大胸筋)
- 背中(広背筋)
- お腹(腹筋群)
- 太もも(大腿四頭筋、ハムストリングス)
- お尻(大臀筋)
無理をせず、大きな筋肉群を鍛えるメニュー4〜5種類を2〜3日置きに始めてみましょう。
筋トレの解説についてはこちら⏩「40代女性の筋トレ!自宅で手軽にできるメニュー11選」
健康的に体重を増やすおすすめ食品
体重を増やすには良質な脂質を含む食品や、GI値が低い糖質食品がおすすめです。あまり量が食べられない人は液体を摂ることで、栄養素の摂取を補えます。
十割蕎麦
栄養価(100gあたり)
カロリー:132kcal
脂質:1g
タンパク質:4g
体重を増やすためには糖質(炭水化物)の摂取が必須です。しかし高GI値の糖質は避けたいところです。健康的に体重を増やすためにおすすめの糖質が「十割蕎麦」です。
GI値は低いので血糖値を急上昇させることはありません。さらに他の糖質食品と比べても、タンパク質を多く含み(アミノ酸スコアも高い)、ビタミンB1などビタミン、ミネラルも多く、非常に栄養価に優れた食品です。
アボカド
栄養価(100g当たり)
カロリー:187kcal
脂質:14.66g
飽和脂肪酸:2.126g
一価不飽和脂肪酸:9.799g
多価不飽和脂肪酸:1.816g
カロリーは高いけど体に良い食品です。脂質の8割は不飽和型で体に良いものです。植物性の脂肪分なのでヘルシーで腸内環境を悪化させません。体重を増やすのであれば、1日1個を目安に食べるといいでしょう。
ミックスナッツ
栄養価(100g当たり)
カロリー:585kcal
脂質:49g
飽和脂肪酸:11g
一価不飽和脂肪酸:21g
多価不飽和脂肪酸:17g
種実類も健康や美容に良い食品です。ナッツ類はカロリーは高いですが、不飽和型の脂肪が多く、ビタミンやミネラルも豊富に含まれています。
おやつに食べたり、ヨーグルトやサラダのアクセントに砕いて入れたりなど多用できます。
■代表的な種実類
アーモンド、カシューナッツ、マカダミア、ピスタチオ、ピーカンナッツ、ヘーゼ ルナッツ、クルミ、種(かぼちゃ、ひまわり)、松の実、ゴマ
ダークチョコレート
栄養価(カカオマス100%で100g当たり)
カロリー:570~590kcal
脂質:34.1g
飽和脂肪酸:19.88g
一価不飽和脂肪酸:10.38g
多価不飽和脂肪酸:1.08g
チョコレートの脂質であるココアバターには、不飽和脂肪酸が多く含まれています。カカオマスには強力な抗酸化作用があり、チョコレートは美容食品としてもおすすめです。
砂糖が主体のミルクチョコレートではなく、カカオマス主体のダークチョコレートでないといけません。選ぶ際は高カカオチョコレートにしてください。
果物
果物は糖を多く含んでいますが、GI値は低いので血糖値を急上昇させることはありません。ビタミン、ミネラルを多く含み、積極的に摂りたい食べ物です。お腹が空いてない時など、スムージーにすると量もしっかり摂れます。
果物は酵素を含む食品でもあります。体内酵素量が減少する40代からは非常に重要になります。特に「マンゴー、パパイヤ、キウイ、パイナップル」など南国の果物には、酵素が多く含まれています。
豆乳
タンパク質や鉄分、40代女性にとって重要な大豆イソフラボンが含まれています。液体状なので、少食の人にも無理なく摂取することができます。きな粉を混ぜると、より高タンパクになります。
アーモンドミルク
豆乳と同じく液体なので、少食の人におすすめです。食物繊維、ビタミンE、タンパク質が豊富に含まれています。豆乳以上に糖質量や脂質量が多いので、体重を増やしたい人には非常におすすめです。
プロテインについて
プロテインは体重を増やすためには効果的です。しかし種類や摂り方を気をつけないと逆に健康を妨げてしまいます。40代女性が体重を増やす上でプロテインのポイントと注意点をお伝えします。
プロテインの種類
プロテインには主原料によって違いがあり、それぞれ特徴があります。
■ホエイプロテイン
ホエイプロテインはヨーグルトを作るときに上澄みにできる液体、乳清に含まれるタンパク質です。筋肉修復に必要なアミノ酸が多く含まれており、吸収速度も速いので、筋トレ愛好者に最も飲まれているプロテインです。
筋肉を作るには最適なプロテインですが、人によっては胃がもたれるなど合う合わないがあります。また過剰摂取は腸内環境の悪化につながるので注意が必要です。
■カゼインプロテイン
牛乳に含まれるタンパクの一種です。カゼインは不溶性で体への吸収がゆっくりなのが特徴です。痩せすぎの人は胃腸があまり強くない人も多く、動物性タンパクかつ、アレルギーの原因になると言われているカゼインはおすすめしません。
■ソイプロテイン
大豆に含まれるタンパク質です。吸収はゆっくりなので食事代わりの摂取におすすめです。(カゼインと違い植物性なので、胃腸への負担も少ない)
大豆のイソフラボンには、女性ホルモン「エストロゲン」に似た作用を持つので、更年期に向けてエストロゲンの分泌が下がる40代女性には、非常におすすめです。
■ヘンププロテイン
麻の実を粉末にしたものです。麻の実にはタンパク質以外にも食物繊維、亜鉛、マグネシウム、ビタミンなど多くの栄養素を含んでいます。痩せすぎの人は、食事量が少なく栄養素の摂取量の問題があるので、栄養バランスに優れたヘンププロテインは食事の補助として最適です。
上手なプロテインの摂り方
動物性タンパク質のホエイプロテインと、植物性タンパク質のソイプロテイン、ヘンププロテインを状況に応じて使い分けるようにしましょう。
摂取のタイミングと種類 | 効果 |
筋トレ後 ホエイプロテイン |
吸収が早く、筋トレ後の筋肉の修復に効果的 |
食事代わりなど(筋トレ後以外) ソイ、ヘンププロテイン |
緩やかに吸収され、長い時間、筋肉に栄養を供給してくれる |
おやつ プロテイン系携帯固形食 |
おやつ代わりにタンパク質が摂取できる |
増量のためのウエイトゲイナーとは
純粋に筋肉量だけを増やそうとしているプロテインに比べ、体重を増やす目的なのがウエイトゲイナーです。(筋肉量だけでなく脂肪量なども)一般的なプロテインより「カロリーが高い」「糖質量」が多いことが特徴です。
では痩せすぎの40代女性が体重を増やすのに、ウエイトゲイナーが良いかといえば絶対におすすめしません。胃腸への負担が大きくなりますし、ウエイトゲイナーで上手に増量するためには、それなりの運動量(トレーニング)が求められます。
40代女性がウエイトゲイナーを摂っても、体に負担をかけるだけで健康的に体重を増やすことは難しいといえます。
まとめ
体重を増やすことは、ある意味痩せることより難しいです。
体重を増やそうと闇雲に食事量を増やしても、胃腸を壊してしまうだけです。痩せること以上に運動や食事の管理をしっかりしていくことが大切です。